
新規事業開発2.0:解釈学的循環による新たな総合の試み【第3回】
第1回では、予測不可能性が常態となった現代において、従来の新規事業開発アプローチが直面する限界と、それに代わる新たな指針として「適応型機会創出モデル(Adaptive Opportunity Model: AOM)」の輪郭を描きました。今回は、このAOMの核心へとさらに踏み込み、その根底にある思想、すなわち理論的基盤と、モデルを駆動する具体的なエンジンである「3つの中核機能(機会創出・機会検知・機会活用)」を解き明かしていきます。理論の深みと実践のリアリティを往還しながら、皆さまが直面する事業開発の現場において、本質的な問いを立て、次なる一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。
AOMは、真空から生まれたものではありません。過去数十年間にわたる様々な学術領域、とりわけ経営学、経済学、認知科学、複雑性科学、進化生物学などの知見が複雑に絡み合い、現代の事業環境という坩堝の中で再解釈・統合されたものと捉えることが適切でしょう。その根底にある思想的潮流を見ていきます。
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