TOP Contents 戦略のための戦略 メタ戦略とは?

戦略のための戦略 メタ戦略とは?

戦略のための戦略 メタ戦略とは?

序:「環境適応業」から「動的適応経営」へ

1990年代初頭、まだ駆け出しの経営コンサルタントだった頃、界隈の金言は「企業経営とは環境適応業である」でした(今でも間違っているとは思いませんが)。富士通ワープロOASYSを駆使して作る提案書には、ここぞとばかりに大きくゴシック体で表示していたものです。当時のドミナントロジックは明確でした。外部環境を分析し、SWOT分析やファイブフォースなどのフレームワークで市場構造を理解、逆算的に自社のポジショニングと方向性を導出するというアプローチです。Lotus 1-2-3で線形成長させる未来は、予定調和の物語を一枚の静止画として切り取ったような、いわば静的シミュレーションだったのかも知れません。

弊社の5年後のビジョンは……

あの日から30年以上を経た今日、外部環境の変化スピードは指数関数的に加速し、その景色を「静的」に捉えることが不可能になりつつあります。今や5年はおろか5ヶ月先すら見通しにくい時代です。

ここ数十年のPEST(政治・経済・社会・技術)環境の変化は、かつての産業革命や冷戦終結と並ぶほど、いえそれ以上に多層的な不確実性を増しています。国際政治では、従来の「力の均衡」に代わり、トランプ政権下で顕在化した「トランザクショナル外交」が国家間関係に経済合理性を持ち込む動きを加速させています。これは単なる政権交代ではなく、第二次大戦後のリベラル国際秩序を問い直す潮流の一部であり、ウクライナ紛争や台湾問題はその延長線上にある要素の一つとも捉えられます。

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